日本で唯一!?消防団員でつくる素人劇団「劇団 箸消(はせしょう)興行」。
私たちの活動内容、地元集落の話題などを紹介しています。
| 箸荷地区消防団の地域おこし |
| はじめに |
加美町箸荷(はせがい)地区。人口7700人のまち加美町には26の集落があるが、そのなかの1つが箸荷である。のどかな農村風景が広がるこの地区に58戸、262人が仲良く暮らしている。
平成2年9月から「村の名物・自慢づくり運動」が町民サイドで始まり、町内26のすべての地区が個性的で魅力的な集落づくりに取り組むようになった。地区ごとにテ−マを決め、村づくり委員会などの組織を中心に熱心な活動が始まっていった。
ここ箸荷地区は消防団がとても元気で、消防団員が中心になってさまざまな仕掛けを行っている。地区の役員らと十分な協議を重ね、「素人芝居の里 はせがい」をキャッチフレ−ズに集落づくりを行うことになった。そして長らく途絶えていた素人芝居を消防団が平成5年秋に、約15年ぶりに復活。翌6年には地区のミニコミ紙ともいえる集落新聞「箸荷だいすき」を創刊し、地域情報を町内外に発信している。
| 田舎の消防団員は忙しい!? |
箸荷地区の消防団員は全部で17人。20歳から38歳までで、30代の者が多い。定員は20人だが若者がいないので17人しか確保できず、従って40歳になっても退団できるかどうか分からない。みんな長男の「アトトリ」ばかりで、農協職員、森林組合職員、町職員、会社員、自営業、トラック運転手と職種もさまざまだ。家に帰る時刻もまちまちで、あまり顔を合わすこともないが、ムラを守る意識と団結力はどこにも負けない。
毎月2回の火の元点検、機械器具点検、定期訓練、これに加え町ポンプ操法大会に向けての訓練、合同実戦訓練、年末警戒など、年間の出動日数は100日を超える。出なければならない行事が多く、とにかく田舎の消防団は忙しい。だから、若者にはどうも好まれない。でも、田舎に住んでいると、消防団に入って1人前。地域に住んでいながら消防団にも入らないようでは近所づきあいもできない、と認めてもらえない。
箸荷の場合は、通常の団活動のうえに村おこしもやるというのだから、並み大抵のことではない。でも、みんなが集まって酒を飲みながら話をするのが何より好きという者ばかりなので、まとまりも良く、すぐに「一緒に何かをやろう」ということに展開してしまう。
| 村芝居の復活 |
昔は農村で秋祭りに素人芝居が行われるところが多かったが、加美町でもほとんどの地区で青年団が芝居を演じて村人たちを楽しませていた。ところが時代の流れとともにすたれていき、一番最後まで残っていた箸荷地区も昭和50年代の終わりにとうとう途絶えてしまった。「あんな芝居がもう1回見たい」「復活してみてはどうか」「ぜひやろう」そんな声が上がり、消防団が約15年ぶりに復活することになった。
平成5年から毎年秋に地元公会堂で公演を行うようになり、レパ−トリ−も増えている。同9年からは、地元公演以外に町内の老人ホ−ムの慰問公演もこなすようになった。このときに正式に劇団「箸消(はせしょう)興行」と命名し、今後末長く活動をしていくことも確認し合った。劇団名は、箸荷地区消防団から取っており、村を興(おこ)し、人を興し、行動しよう、という願いもこめた。
秋の公演に向けて2カ月間みっちりと夜間練習を積むが、それぞれ仕事も違うので練習時間を合わすのに一番苦労する。出し物は時代人情悲劇をやることが多く、観客の笑いを誘い、最後には涙を流してもらおうというスト−リ−だ。
演技指導、衣装、化粧は隣町の興行社にお世話になり、約1時間の本格時代劇を演じる。男性ばかりなので、女性役もこなす。団員の熱演に「おひねり」や声援が飛び交い、いつも拍手喝采を浴びている。素人ながら涙を誘う演技が評判となり、また新聞などで大きく紹介されたことなどにより町外から公演の依頼もかなり舞こんでいるが、あくまでも地域にこだわり加美町以外での興行活動は丁重にお断りしている。
(平成11年の公演は、10月10日夜に箸荷での地元公演、10月17日昼に老人ホ−ムでの特別公演を実施した。)
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| 集落新聞発行、山頂イベントの仕掛け |
また、消防団では昭和63年から町の駅伝競走大会に毎回出場し、「火の用心」ハチマキを締めて走り防火啓発も行っている。火を消すことも大切だが、まず火を出さないことが一番だと訴え続けている。
さらに毎年元旦には「ご来光出初め式」と銘打って東播磨の最高峰・千ケ峰(標高1005メ−トル)の山頂で隣町の消防団とイベントも開催。新春綱引き大会やハシゴ乗りなどをしているが、今や恒例の正月イベントとして定着している。
| 悪徳商法対策ビデオの企画 |
平成10年には加美町消費者協会との共同企画で「悪質商法対策ビデオ」を作成した。この近辺に出没し主婦やお年寄りなどをだまして高額な物を買わせるという悪質商法が流行しているが、これに対応するために町営ケ−ブルテレビで放映し、住民に啓発しようというものだ。マルチ商法、キャッチセ−ルス商法などいろんなケ−スを芝居で見せ、それに対してどうすればよいのかを解説する内容で、悪質業者役に消防団がふんし、だまされる消費者役に消費者協会会員がなって作成した。このビデオについては、町外への貸出しもしている。
| 消防団活動事例ビデオに出演 |
このような箸荷地区消防団の幅広い社会参加活動ぶりが財団法人 日本消防協会の目にとまり、平成10年3月に協会が自治体消防50周年を記念して作成したビデオに出演することになった。ビデオのタイトルは「われら生きいき−地域の防災リ−ダ−として」で、テ−プの長さは25分。このビデオにはユニ−クな活動をする全国の9消防団が出演しており、兵庫県での出演は箸荷だけ。そして箸荷の出演部分が最も長く、中間の5分間を占める。このテ−プには箸荷地区消防団のすべてが紹介されている。4000本が作られ、全国の自治体や消防署などに配布された。58戸の小さなムラから、全国に向けて情報発信することができた。
| おわりに |
消防団活動は、地域づくりの一つの手段。この地域に生きている証しとしてみんなが一致団結し、この地区が、この町が少しでも良い方向に向かっていくように、またこの地域に生きていることを誇りに思いながら地道に活動を続けたい。とにかく楽しくなければ、絶対に長続きしない。自分たちが楽しんで、みんなが大笑いできるように頑張りたい。ボクたちのムラはそんな楽しいことができるフィ−ルドをもっていて、無限の可能性を秘めている。